ロゴは、お客様に対しての印象を決定づける、製品やブランドの顔となるもの。すなわち、ブランディングに大きく関わるもの。
昨年2018年より新たに加わった、奈良ならではのハイクラスのラインナップ、「正倉院文様」のシリーズのために、新しいロゴタイプを作成することになりました。
これまでのロゴも並行して使っていきますが、新しいラインナップにより適したロゴの必要性を感じたからです。
ロゴは正確にはロゴマーク(絵柄の部分)とロゴタイプ(文字の部分)に分けられるのですが、今回作成するのはロゴタイプ。その制作工程を掲載してみようと思います。
フォントの選定
まずはベースとなるフォントの選定。数多あるフォントの中から、ラインナップのイメージにふさわしいフォントを選びます。
この選定作業が意外にも一番時間のかかるところなのですが、「高級感」「荘厳」「落ち着き」「上品」「伝統的」「優雅さ」などテーマをしっかりと定め、それらの特性を備えたフォントを選出していきます。
様々なフォントで「HARUHINO」の文字をタイプし、正倉院文様の絵柄とも合わせてみて、昔からあるものから新しいものまでたくさんの候補があがりましたが、結局、デザインに携わる人なら誰もが知っているトラディショナルなフォント「Trajan Sans」と「Optima」の2つに絞り込みました。
「Trajan」と「Optima」は、どちらも古代の石碑に刻まれた文字にインスパイアされデザインされたフォントで、古くから様々な人に愛され、多くのブランドロゴにも採用されてきたフォントです。
英字フォントには大きく分けて、セリフ体(日本語フォントでいう明朝体)とサンセリフ体(日本語フォントでいうゴシック体)があります。
「Trajan Sans」は、歴史的なセリフ体フォントである「Trajan」の美しいフォルムをそのままに、サンセリフ体として新たに生み出されたフォント。
「Optima」は、セリフ体にもサンセリフ体にも属さない、ちょうどその中間でいいとこ取りをしたようなフォントで、独特の上品さをもっています。
どちらも洗練された美しいフォントです。
作り込み
さて、絞り込んだ2つのフォント「Trajan Sans」と「Optima」で、「HARUHINO」の文字を作り込んでいきます。
まずは文字間を調整していきます。厳かさを保ちつつも、「ゆったり感」「安定感」「落ち着き」を出すために、広めに文字間を持たせ、バランスを整えていきます。
次に、よりイメージに近づくように、文字のフォルムを調整していきます。
まずは「Trajan Sans」の方から。「R」が流麗すぎるイメージを与えるため、「はらい」を取り除き、カッチリとした端正なフォルムにします。また、「O」の微妙な傾斜を取り除き、さらに落ち着いた雰囲気をもたせます。
次に「Optima」。「A」の文字がどうしてもモダンな印象を与えてしまうため、まずは傾斜を取り除き、さらに左右の斜め線の太さの差を少なくしました。これだけで全体の印象が随分変わり、落ち着いた印象になりました。
そして最後に、レトロな味わいを強めるために、各文字の線が交差する部分の内側に墨溜まり(インクの滲み)を作りました。
2つのロゴタイプ候補が完成
以上で、「Optima」と「Trajan Sans」をベースにした2つのロゴタイプが完成しました。
そして、これは使うかどうかはわかりませんが、新しいロゴタイプに合うように、ロゴマークも銅版画調にリメイクしてみました。
ちなみにHARUHINOのロゴマークは、革を裁断する道具である革包丁がモチーフとなっているのですが、この革包丁が「HARUHINO」の頭文字である「h」を表しています。
さて、お陰様でHARUHINOも先日、創業5周年という節目を迎えました。これまで支えてくださった皆様、本当にどうもありがとうございます。
2つのロゴタイプ候補のうちどちらを採用するのか、もう少しの間未定ですが、今後、新しいロゴとともにHARUHINOがさらに飛躍し、HARUHINOの製品と奈良が愛されていくことを願ってやみません。
今後とも、HARUHINOをどうぞよろしくお願いいたします。